生殖医療関連の先進医療について

先進医療は、公的医療保険の対象にできるかどうかを評価している最中の医療技術になります。先進医療には「先進医療A」と「先進医療B」があり、保険適用の診療と先進医療を合わせて行った場合の保険と自費の混合診療が認められています。「先進医療A」は未承認等の医薬品もしくは医療機器の使用また医薬品・医療機器の適応外使用を伴わない医療技術、未承認等に検査薬の使用または検査薬の適応外使用を伴う医療技術であって、当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいものが「先進医療A」に分類されます。なお、現在生殖医療の診療項目として「先進医療B」に該当するものは定められていません。(厚労省HPより抜粋)

当院では、患者さんのご希望や各先進医療を用いた方が患者さんのメリットにつながると判断した場合にのみ、下記の適した項目をお勧めする場合があります。

先進医療Aに認定された不妊治療にかかわる項目(2025年9月1日時点)

●タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養

タイムラプスというシステムにより、胚の非侵襲的胚観察が可能になり、定位置・一定間隔で撮影した画像を連続して映し出す撮像法(さつぞうほう)を用いて、受精卵・胚を培養器の庫外に取り出すことなく連続観察する培養法。

<ポイント☝️>

当院が独自に開発した装置によって、胚培養しながら胚にダメージをあたえること無く成育の様子を連続的に観察することを可能にした手法。現在ではエンブリオスコープ等と呼ばれる類似機器が製造され、世界中で用いられるようになっています。

<当院における自費診療費(税込)>

23,000円

●子宮内膜刺激術(SEET法)

胚移植の数日前に胚培養液を子宮へ注入し、着床に適した環境をつくる方法です。二段階胚移植における一段階目に移植する初期胚の代わりに胚培養液を子宮に注入することで、子宮内膜の胚の受け入れ態勢を整える治療が出来、その後に胚盤胞を移植する方法。

<当院における自費診療費(税込)>

39,910円

●子宮内膜擦過術(いわゆる、内膜スクラッチ法)

子宮内膜の細胞を採取する器具を用い、子宮内膜を擦って軽微に損傷させることで、着床・妊娠率向上を期待する技術です。器具を子宮内に挿入し、同方向に数回回転させて子宮内膜を擦り刺激し、次周期に受精卵を子宮に移植します。

<当院における自費診療費(税込)>

30,300円

●子宮内膜受容能検査(ERA)

「着床の窓」を調べる。次世代シークエンサーにて子宮内膜組織に発現する238種類の遺伝子を網羅的に解析し、子宮内膜組織が胚(細胞分裂をした受精卵)の着床が可能な受容期にあるか否かを調べる検査法です。

<当院における自費診療費(税込)>

120,000円

●子宮内細菌叢検査 1(EMMA&ALICE)  子宮内細菌叢検査 2

「子宮内フローラ」を調べる。次世代シークエンサーを利用し、これまで無菌と考えられていたほど少ない量の細菌について詳細に子宮内膜細菌を測定し、子宮内が妊娠に適している状態かどうか細菌叢を検査する手法です。

<当院における自費診療費(税込)>

1、2 共に 56,000円

●二段階胚移植法

胚移植を行う同一周期内で、3日目に初期胚(8細胞期胚)を1個移植し、5日目に胚盤胞を1個移植する方法です。初期胚は子宮内膜にシグナルを送り、子宮内膜の着床環境を整えると考えらえています。当院ではその有効性を認めておらず、実施しておりません。

<当院における自費診療費(税込)>

新鮮胚 66,000円 凍結胚 110,000円

●ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)

成熟精子を生理学的に選別するという顕微授精のための新しい技術です。ヒアルロン酸の入ったプレートに精子を入れ、ヒアルロン酸に結合したDNA損傷の少ない成熟精子を選択して、顕微授精に用います。

<当院における自費診療費(税込)>

24,000円

●強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)

形状については、精子の頭部や中方部に空砲がある精子は、受精率がよくない傾向にあることが分かっています。IMSI(イムジー)とは、通常よりも高倍率の顕微鏡を用いて厳密に精子の形態を観察することで、ICSIに用いる精子を選定する技術のことをいいます。

<当院における自費診療費(税込)>

10,000円

●マイクロ流体技術を用いた精子選別(ZyMot/ザイモート)

遠心分離を用いた密度勾配法での精子調整では精子細胞質の損傷、その状態での活性酸素暴露によって精子のDNA断片化が発生する事の懸念が報告され、精子のDNA断片化率が高いと、受精卵の発育停止や妊娠不成立につながることから、精子のDNA断片化を発生させない精子回収が考案され、この方法がマイクロ流体技術を用いた精子選別法です。

<当院における自費診療費(税込)>

25,000円(臨床研究参加の場合無料)

●抗ネオセルフβ₂グリコプロテインI複合体抗体検査

不育症・不妊症の原因のひとつに近年新たに発見された抗体です。この抗体は血管の炎症を引き起こすことにより血栓ができやすくなり、不育症・不妊症の原因となると考えられています。この抗体は不妊症の方の30%、不育症の方の20%に検査陽性になるというデータがあると報告されています。

<当院における自費診療費(税込)>

38,500円