2015.12.08

薬物療法・性交タイミング指導


不妊症の治療

薬物療法

不妊治療において最も関心が高く、不安を感じておられる点はお薬のことだと思います。治療のために使用するお薬は、まさに“お薬”であって“毒”には決してならない大切なものです。以下に、われわれが日常用いるこのようなお薬の種類と作用をご説明しますが、全てこれらは、生殖医療を行う上で重要な役割をはたしている大切なホルモンそのものですし、極めて安全なお薬です。これらのお薬を用いる目的は、本来身体に存在し、作用しているホルモンが不足しているために身体の外から補充しているにすぎません。残念ながら、過去に色々な問題が発生していますが、全て起こるべくして起こっていて、お薬自体の副作用ととらえることではないのです。ただ、唯一の問題は多胎妊娠です。自然な状態では身体が微調整しているホルモンの放出量ですが、外からのお薬での補充では、ヒトの身体ほどは緻密な調整が出来ません。
それによりどうしても多胎妊娠が起こりやすくなります。しかし、現在では超音波断層法にて幾つの卵胞が排卵しそうであるかを あらかじめ知ることが可能ですので、極端な多胎は防ぐことが出来ます。したがって、ご夫婦には、排卵が起こらず妊娠しない場合に、わずかな多胎の可能性が故に妊娠を断念されるのか、それとも双胎程度の多胎を受け止めて妊娠することを優先していただくのかの選択をお願いしなければならないことは確かです。私たちも、多胎にならないよう最大限の配慮をしていることを是非ご理解いただきたいと思います。

 

クロミフェン

月経開始後5日目より5日間服用する内服薬です。これを服用すると脳の視床下部(全てのホルモンをコントロール している最高中枢)から 脳下垂体を刺激するホルモン(GnRH)が分泌され、これを受けて下垂体から卵胞発育を促すホルモン(FSH)が分泌され、卵胞が育ちます。

FSH製剤(FSH/hMG)

脳下垂体から分泌され、卵巣内の卵胞を育てるホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)を注射薬として用います。現在は、分子生物学的手法を用いて、脳下垂体から分泌されているFSHと全く同じ構造、作用を持つFSH製剤と、従来から使われていた更年期婦人の尿から抽出したhMG製剤の2種類が使用可能です。このお薬は、卵巣を直接刺激し、卵胞発育を促しますので、効果は極めて確実で有効ですが、効果の程度には個人差が大きく、また、使い方や投与量が適当でない場合や特定の卵巣所見の認められる女性などでは、効果の現れ方が過剰となり、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性もあり、その使い方には専門的知識が必要です。

LH製剤(hCG)

FSHと同じく、脳下垂体から分泌され、発育した卵胞を排卵に導く黄体化ホルモン(LH)を注射薬として投与します。多くの場合、FSH製剤とセットで用いられます。諸外国では、このホルモン製剤もヒトLHと全く同じ構造、作用を持つLH製剤が使用可能ですが、日本ではまだ認可されておらず、使えませんので、従来からの、妊婦尿から抽出したhCG製剤を用います。卵胞が成熟し、hCGを投与しますと、順調な経過をたどる場合には、その36時間後に排卵が起こります。妊娠した時の妊娠判定には尿検査が行われますが、その際には、尿中のhCG測定を行っています。LHとhCGは同じ構造、作用を持ち、妊娠するまでは排卵を促すためのホルモンとして作用し、妊娠してからは妊娠を維持するための大切なホルモンとして働いています。

 

 

 

 

性交タイミング指導

ご主人の精液所見に異常がなく、女性側も特に異常を認めなければ、排卵日を指定し、性交のタイミングをお知らせし自力で妊娠していただけるように指導する方法です。最も自然な方法と言え、理想的治療です。下記の3つの項目を観察しながらベストタイミングを探ります。

 

 

 

基礎体温 (BBT)

超音波断層法(スキャン)

ホルモン値測定

性交タイミング表

 

一般的には、熟睡している状態の体温を測るのが理想ですが、それは不可能であるため、朝目覚めたときの体温を測定します。測定に用いる体温計は普通の体温計よりも温度の変化を細かく測定できる婦人体温計を用います。月経開始後排卵までの卵胞期では、体温は比較的低温で低温相(一般には、36.7℃以下)と呼ばれます。そして、排卵後黄体ホルモンが分泌されるようになるとこのホルモンの作用で体温は上昇し、36.8〜37.0℃を推移するようになります。この時期を高温相と呼びます。この高温相は2週間しか続かず妊娠でなければ、体温が低下して月経が起こります。従って、高温相が2週間以上続けば妊娠している可能性が高くなります。いずれにしても、不妊症の治療にはBBTは不可欠の情報となります。必ず測定しましょう。

人工授精(AIH) 

 

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